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無造作に片手で海里を引きずったまま、隆史は寝室までたどり着いた。 そして、引いた勢いのまま、海里を床に放った。 投げ出された海里は床に叩き付けれられた衝撃で一瞬バウンドするように跳ねたが、床に沈んだ後 はぴくりとも動くことはなかった。 まだ意識がないのだろう。 うつぶせて気づく様子のない海里を、隆史は傲然と見下ろし、薄く笑った。 そして、そのうつぶせた細い体を仰向かせるため、隆史は海里の腹を容赦なく蹴り飛ばした。 意識のない海里は蹴られるままに飛ばされ、体を表に返された。 表を向いた海里の顔は赤く腫れ上がり、引きずられた時にできたのか、擦られたような縦縞状の擦 り傷まで出来ていた。口元は殴られた時に切れたのかうっすら血も出ている。 それらを観察するように眺め回して隆史は、汚いものを見るような目をして吐き捨てた。 「愚かな…」 本当にその一言につきる、と隆史は思った。 媚を売りまくるのは下品で美しくないからそこまでは要求しないが、最低限の主人に対する礼儀と忠 実・従順は必要だろうに…命令に背く、挙句聞かないとは、使用人としてあまりに失格ではないか。 そんな愚かな使用人には、それ相応の対処をせねば。 …舐められては、越智隆史の沽券に関わる。 裏切り者には死を。愚か者には罰を。この私に牙を向くなら、その牙をへし折るだけではすませるつも りはない。 二度と逆らう気など起きないように、死んだ方がましだという地獄を見せてやる…。 口元にあまりに残虐な笑みを浮かべて、隆史は乱暴に海里の顎を掴み、軽く開いていた口をこじ開 け、持ってきた薬を飲ませた。 意識がない海里は抵抗することなくその薬を嚥下した。 飲み込んだのを確認した隆史は酷薄な笑みのまま、海里の体を荷物のように持ち上げ、細かい装飾 が施された天蓋つきの大きなベッドの上に放り投げた。 そして自身も、ごろごろと無様に転がる海里を見ながら、ゆったりとベッドに腰掛けた。 横向きで動きの止まった海里をのしかかるように見下ろし、隆史はくくっと人の悪い笑い声を上げた。 さあ、どうしてやろう? とりあえず意識のないままではつまらないと、隆史は海里の頬を強く叩いて気づかせることにした。 よほど深く落ちているのか、一発叩いたくらいでは気を取り戻さない。 そのまま2発3発叩くうちに、元々腫れていた頬が内出血でもしたのか、さらに青く色を変えていく。 そして4発叩いたところで、やっと海里はうっすらと目を覚ました。 が、ゆっくり開いた瞳は相変わらず虚ろで何を思っているのかも見えない。 その目を見るだけで怒りを感じた隆史はもう一発強く頬を張った。 けれど少年は、痛みを感じてないのか、頬は殴られどうしで目に見えて腫れ上がっているのに、なん の反応も見せなかった。 今何をされているのか、これから何をされるのか、何事も全く自分には関係ないとでも言うような無表 情。 こんなになってもその態度か、と隆史は半ば呆れ返った。 この強気さは一体どこからくるのだろう? 考えて、隆史はある可能性に突き当たった。 …たしかコレは初物だと言っていた…。 まだ男も女も知らない体。だからこれから何が起こるのかわからないのだろうか? しかもこの態度とこの容姿、雰囲気を見るにつけ…、 どこかの名家のご令息の、没落した成れの果てか何かではないのだろうか? …そうだとしたら、無駄に気位が高くて、この態度もわかる気がした。 ただ、と隆史は思う。 だからといって許されることは何もない。 この世は力だ。弱いものは、こうして強いものに全てを奪われる。 自分が売られる程堕ちてしまえば、矜持など、持っているだけ無駄だろうに…。 そう思いながら、海里の、無残な状態になった白い顔を眺めた。 と、 海里の体がびくんと一跳ねし、小刻みに震え始めた。 元々どこを見てるのかわからないような目はさらに焦点を失くし、妙に荒い呼吸音だけが辺りに響く。 …きたか。 激しく何度も、悶えるように寝返りを打ちながら、シーツを筋が立つほど握り締める海里に、隆史は満 足そうな笑みを浮かべた。 今、海里は苦しくてたまらないだろう。 それもそのはずだった。海里が先ほど飲まされていた薬は、即効性の催淫剤で、これを飲めばどん な精神力の強い者でもたちどころに腰を振って慈悲を請う、簡単に性奴と化してしまうという、恐ろし い代物であった。 以前、何かの仕置きのためにレイラにもこの薬を使ったことがあったが、その時も性技に長けている はずのレイラが我を忘れ、強烈な淫蕩ぶりを見せつけながら許しを請った。 いつもは涼しげなレイラの顔が乱れて、淫りがましい言葉を連発し、淫乱さながらに腰を振る様は、 今でも隆史の記憶に焼きついている。 上流階級の間で長い年月、調教や自白、折檻のため脈々と受け継がれてきたというその薬は、効き すぎて幻覚作用すら起こるらしい。性に初心者だという海里には、あまりに非情なものであった。 だが、この生意気な少年に思い知らせるためには、このくらいしないと気がすまない。 「は…ぁ…っ…」 隆史が冷め切った目で見つめる中、海里は、暑いのか喉をかきむしるように身をくねらせていた。 眦には生理的にか涙が盛り上がり、そして…、 その瞳は、混乱したように見開かれていた。 初めて出てきた、表情らしき表情に、隆史はこみ上げる笑いを抑えきれず身を震わせた。 「苦しいか?」 隆史の問いに海里は答えなかった。いや、答えられなかった、といった方が正しいだろう。 はあはあと喘ぐばかりの、閉じられなくなったのかだらしなく開ききって唾液のつたう口から、途切れ 途切れの意味不明な呻きが聞こえてくる。 異常な程汗をかいた白い、少女めいた顔が泣きそうに歪んでいく様を、隆史は楽しそうに見やり、 そして、 勢いよく、海里のシャツの襟首に手をかけた。 そしてそのまま、ボタンを外すのも面倒だといわんばかりに、隆史はシャツを力任せに引き裂いた。 隆史の憤りもあらわな、ぎらついた笑みの下、 ボタンのちぎれる嫌な音が、辺りに響いた。 「あ…あ…んっ…」 軽く鎖骨のあたりに触れただけで、ひっきりなしに高い声を上げる海里に、隆史は噛み付くように 口付けた。 服を引きちぎられ全裸の海里は、口付けると甘えたように隆史の舌に吸い付いてくる。 今更の甘えぶりにそれすら憎たらしく、隆史は海里の唇を強く噛みしめた。 「ん!」 途端、海里の体がびくりと跳ね上がり、隆史に握られていた幼い性器から淫液が迸った。 噛まれる痛みにさえ白い液を飛ばす未熟な花芯を嘲笑いながら、隆史は海里の柔らかい胸元を さらに噛んだ。 透けてるかのように白い肌は、すぐに痕がついて赤く染まる。 征服していくかのようなそれが愉快でたまらず、隆史は海里の肌をどんどん侵食していった。 胸の突起に軽く触れ、隆史は執拗にそれをなぶる。 「ああん…あっ…ああっ!」 なぶられるまま、感じ入った声を上げる海里は、怯えたようにがたがたと震えながら、いやいやと 顔をふっていた。 先ほどから焦点をさらに失くした目からは涙がとめどなく溢れ、すがるような色さえ浮かんでいる。 そのあまりに幼い反応に、隆史は、 「…変われば変わるものだな」 満足げに、海里の色の薄い胸の尖りを、遠慮のない手つきでひねり上げた。 「ひぁっ!」 突起が赤く立ち上がる。 そして、 海里は再び、隆史の手にねばついた白い液を撒き散らしたのだった。 |
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