薬のせいで仕方ないとはいえ、節操なく放ってばかりの海里の泣きぬれた性器を、隆史はち
ぎれたシャツの切れ端で、色が変わるほど縛りあげた。
「はじめてのくせに垂れ流してばかりの淫乱すぎるお前には、このくらいしなくてはな」
冷たい口調で告げられる言葉はあまりに残酷で、海里はかちかちと歯を鳴らしながらすくみ
あがった。
すっかりあの無表情の崩れ去った海里は、まるで何が起こっているのかわからないというよう
な瞳で隆史をぼんやりと見上げていた。
すがりつくように隆史の腕を握り締める、その幼すぎるしぐさはあまりに痛々しく、見るものの
哀れを誘う。
が、それらは隆史にとって、新たな嗜虐心しか生み出さない。
その嗜虐心のままに、隆史は放出をせき止められた海里の先端に爪を立てた。
「あうっん」
海里はまた簡単に隆史の下で狂ったように身悶えた。
その下肢は自分の放ったものでどろどろに汚れていて、その状態で体をよじる様は天性の淫
乱といっても過言ではない。
ただその、戸惑いと恐怖の気配が、海里が楽しんでこうなっているわけではないことを、唯一
物語っていた。
なぶられて淫蕩な喘ぎを上げるほど、海里の表情は、体の反応とはうらはらに弱々しくなって
いく。
「…いや……」
小さく拒絶をつぶやいて、海里は怯えきった瞳で隆史を見つめていた。
ガラス玉ではない、感情を写す瞳に、やっと自分を見たという満足感。
拒絶の態度は腹立たしいが、体の奥が熱くなる…。
……まだ、足りない。もっと泣き叫ばせてやりたい。
そう思い、隆史は手の中の海里を乱暴に扱いた。
海里はばたつかせるように縛られた花芯に手をやり、その結び目を解こうとする。
吐精出来ないのが辛くてたまらないのだろう。
けれど、無情にも隆史はその手をひねり上げ、
「解いてほしかったら、私の足に口づけろ」
薄ら笑いとともに、冷たい声で吐き捨てた。
「犬のように這って、『許して下さい』と言え」
海里の呆然とした瞳から涙がこぼれ落ち、顎を伝って落ちる。
しばらく海里はそのまま固まっていたが、やがて…、
のろのろと体を起こすと、隆史の足元にひざまずいた。
そして、
「ゆる…して下さい…」
掠れた声で言って、隆史の足の指に口づけた。
そのまま、足に口づけたままでいる海里に、隆史は嫌悪をみなぎらせた。
「下種めが」
足に触れたことすら厭わしくなって、隆史は振り払うように海里を軽く蹴り倒すと、さらに次なる
命令を下した。
「うつ伏せて、腰を突き出してみせろ」
その声に、海里は逆らうことなくのろのろと従った。
上体を伏せ、腰だけ高く上げたそのポーズは、幼い印象の海里がとると卑猥以外の何者でも
なく、向けられた肉付きの薄い尻が誘うように揺らめいていた。
淫液の滴る内股に手をかけ、足をもっと開かせてやると、後ろからでも縛られた性器が見え隠
れして、見た目に楽しい。
それに悦に入りながら、隆史は骨ばった白い隆起を割り、覗いた海里の蕾に、乾いた指先を
いきなり突っ込んだ。
「ああっ!」
上がる悲鳴。
薬のせいで弛緩していたとはいえ、まだ少し硬い蕾が指をきゅうきゅうと締め付ける。
けれど、2、3回抜き差しを繰り返すうち、そこは多少弛緩して、隆史の指を誘うように蠢いた。
「ふう…ん…あ…」
明らかに感じているとわかる声が上がる。
もう、いいか…。
少し柔らかくなった蕾に気をよくした隆史は、海里の体をひっくり返し…、
そして足を掴んで持ち上げ、さらに大きく開かせた。
海里はされるまま、何が起こるのかと恐怖にかられた瞳で隆史を見ていた。
……今さらそんな顔をしても、もう遅い。
隆史は口元を歪めて笑いながら、自身の前を軽くくつろげた。
……たっぷり後悔させてやる。
そして出した熱棒を、蕩けだした蕾にあてがうと、隆史は一気に捩じ込んだ。
「────っ!!」
声にならない悲鳴が上がる。
感じているのが痛みではないことは、勃ったままの性器と蕾の卑猥な蠕動でわかった。
けれど、海里は身をよじって逃げようとする。先ほどまでの無反応ぶりとは別人のような暴れ
ようだ。
どうやら、何をされたのかわからないまま襲う体の悦楽に、無知な子供は恐怖感で一杯にな
ってしまったらしい。
「いや…なに…いや…っ」
泣き叫んで逃げようとする海里を押さえつけて、隆史は一度自身を軽く引き抜くと、乱暴に注
挿を開始した。
「い…やっ…ああ…ああ」
突き上げる程に、海里の泣き声がひどくなる。
「やっ…それ、ぬい…てっ!」
錯乱したようにのたうちまわる海里を、隆史は冷たく見下ろし、
「弱いのに逆らうからだ」
さらに腰の動きを激しくした。
明らかに動きについていけてない海里のひどく華奢な体が、揺さぶられるままにくねる。
それでも海里は抵抗をやめない。
「やだ…こわ…いぃ…っ」
往生際の悪い…。
抵抗し続ける海里をねじ伏せ、隆史は熱くたぎった硬いもので限界まで開ききった蕾を思う様
かき混ぜ、
そして、
「…やぁ…」
小さな子供のように泣きじゃくる海里の最奥に、欲望を放った。
奥が濡れる感触に、海里は目が落ちそうなほど見開いて痙攣した。
ぜいぜいとせわしなく息をつきながら震える海里は、貫かれた姿勢で固まったまま、哀れな程
弱々しく、言葉にならない嗚咽を漏らし続けた。
その痛ましい泣き顔に、隆史は気が晴れたといわんばかりに満足気な表情を浮かべた。


様子がおかしいのに気がついたのは、そのすぐ後だった。
海里は苦しげな表情で全身を震わせて浅い呼吸を繰り返している。
「おい、大丈夫か?」
返事はない。しない、というより出来ないといった様子だ。
異常な呼吸音とともに、白い顔に、行為の最中よりも多い汗がにじんでいく。
いくらことの後だからといっても、あまりに様子がおかしい。
「しっかりしろ。どうしたんだ?」
放っておくと死んでしまいそうなほど苦しげな様子。
横たわらせたまま腕に抱き上げて、隆史は痙攣する海里の、体の異常な体温の低さに慌てた。
「レイラ! いないか!」
大声で呼ぶと、すぐにドアが開いてレイラが現れる。
「いかがなさいました…」
どことなく恐る恐る入ってきた感のレイラは、ベッドの上の惨状に息を呑んだ。
そのレイラを急かすように、隆史は焦りのまま強く言い放った。
「コレの様子がおかしい。医者を頼む!」
レイラは目を丸くしたが、
「すぐに手配を!」
海里の様子に、ばたばたと慌てて部屋を出て行った。
レイラを見送ってから隆史は、腕の中で震える海里に目を戻す。
苦しげな顔は殴られたせいでひどく変色して、与えられた行為のせいか、あちこちが涙と汚れ
とでぐちゃぐちゃになっている。
そして、よくよく見ると、海里の病的に白い体には、隆史がつけた愛撫の痕の他、目を凝らさ
なければわからない程の茶色く変色した無数の傷跡があった。
行為の最中にはまったく気がつかなかった。
気になって背中も確認すると、そちらの方がさらに数が多い。
古い傷跡なのだから当然だが、隆史がつけた覚えはない。
「…一体…」
額に手をやり声をかけると、海里は苦しそうに喘鳴しながら、隆史の腕にすがりついた。
そして、
「…ゆる、して…」
苦しげな呼吸の中、途切れがちの声。
「…ご…めんな…さ…」
よくよく聞くと、海里は壊れたレコードのように、同じ言葉をたどたどしく繰り返していた。
そのうち、
増した腕の重みに、目の前の消えてしまいそうな少年が意識を失ったことを感じた。



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